卓球『南北合同チーム』は本当に”卑怯な者”なのか
スゴイぞ。日本女子チーム
日本女子チームが銀メダルを獲得するという活躍ぶりで、大盛り上がりとなった世界卓球。
残念ながら中国にはあと一歩及ばなかったものの、日本に興奮と感動を与えてくれたのは間違いないはず。
卓球経験者の私は決勝・準決勝をテレビで見ながら、凄いプレーが出る度に「ウオオオオーー」とつい声を挙げてしまいました。
松本人志が『南北合同チーム』を”卑怯な者”呼ばわり
大会中、準々決勝で対決するはずだった韓国と北朝鮮が試合を行わず、急遽『南北合同チーム』を結成して共に準決勝に駒を進めるという出来事がありました。
日本女子チームは南北合同チームを下して勝利を収めたのですが、この試合に関して松本人志氏が投稿したツイートが物議を醸しています。
卑怯な者は負ける!
— 松本人志 (@matsu_bouzu) 2018年5月4日
よくやったニッポン!
あろうことか、韓国・北朝鮮が結成した南北合同チームのことを”卑怯な者”呼ばわりしたのです。
このツイートの投稿時間は21時44分。テレ東は卓球男子の日韓戦が始まるまでの間、女子の準決勝の模様を放送しており、
この21時44分というのは日本が勝利したシーンが放送された直後。
なので、タイミング的にも松本人志氏のこのツイートは世界卓球の話を指しているのだと思われます。
南北合同チーム結成は正式なプロセスを踏んでいる
私は松本人志氏のこのツイートにとても違和感を覚えました。
なぜなら、韓国・北朝鮮による南北合同チーム結成は国際卓球連盟によって正式に認められた物だからです。
南北合同チームが結成された経緯
南北合同チームは、準々決勝の前に双方の国から「準決勝では南北合同で出場したい」と申し出があり、国際卓球連盟がこれを認めたことにより実現しました。
先月韓国と北朝鮮で交わされた板門店宣言には「国際競技に共同で出場する」という項目が盛り込まれていたそうです。
世界卓球でもこれに則って南北合同チームを結成する流れになったのだと考えられます。
国際卓球連盟・IOCが南北合同チーム結成を後押し
申し出に対する国際卓球連盟のバイカート会長の反応は以下の通り。
「理事会で展開を説明したところ、合同スタンディングオベーションが起こり、この歴史的な動きをサポートすることにした。」
引用元:テレビ東京スポーツ
「ルールを超えた出来事だ。平和へのサインだ」
引用元:朝日新聞デジタル
また、IOCのバッハ会長もこう述べています。
「この流れが続いて、朝鮮半島や世界が平和になる結論を南北の首脳が出すことを願う」
引用元:時事ドットコム
つまり、南北合同チームは国際卓球連盟やIOCに認められた、正々堂々たるチームなのです。
国際卓球連盟の措置が完全に正しいとは思わない
私は、南北融和を進めるために南北合同でチームを結成することに大いに賛成です。
ただ、私もスポーツをやっていた人間なので、試合で蓄積される心的・肉体的疲労が甚大であることも知っています。
世界大会ともなれば私レベルでは予想出来ないぐらいのプレッシャーや疲労がのしかかってくるでしょう。
突然のルール変更により、1試合丸々すっ飛ばしてしまうというはフェアじゃないという意見は十二分に理解出来ます。
また、合同チーム結成によって出場機会を失った韓国・北朝鮮の選手も存在しており、政治に振り回された選手たちが可哀想です。
それゆえ、今回国際卓球連盟の取った措置が完全に正しいとは私も思いません。
次回大会から南北合同チームで出場といった選択肢もあったはずです。
やはり卑怯な者”扱いはおかしい
とはいえ、今回の南北合同チームは理事会での承認を経て結成されたチームです。
しかも、選手たち自身が結成を主導したのではなく、両国の上層部の意思なはず。
にもかかわらず、彼らのことを”卑怯な者”呼ばわりしてしまうのは、韓国・北朝鮮の選手たちにあまりにも失礼だし可哀想ではないでしょうか。
今回のツイートを行ったのは一般人ではなく、松本人志氏というお笑い界のレジェンド。
もう少し自身の発言の影響力を考えてから発信して欲しかったと感じた一件でした。